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プロジェクト・サイトの黒龍江省双鴨山市宝清県は、現状、自然災害への対抗力が弱く、農業生産の安定的な発展が阻まれている地域である。
1994年9月下旬の豪雨(日間降水量100mm)によって、頭道崗・宝石河の既設頭首工が全面崩壊している。記録によれば、この地域では、過去26年のうち、秋季14
回、春季7回にわたり、排水不良と土壌過湿が原因して収穫が絶無となった他、旱魃も頻発している。
また、作物の生育に必要な有効積算温度(2,500℃)を下回った冷害年も、24 年のうち4回を数える。
自然災害の排除、これがこの地の農業開発の最大の目標である。
龍頭橋ダム建設を中心とする宝清県農業総合開発事業は、洪水や排水不良・土壌過湿を制御し、用排水施設を整備して安定高生産農業を実現することを基本的目標としている。
事業は段階的に進める計画で、目標年次は21世紀初頭に置かれており、このうちの近期部分が第四次円借款によって事業化される。
近期開発計画では、灌漑用水の確保と洪水防御を目的とするダムと付随する水利施設の建設によって、約5万haの農地が改良整備される。
実施工程は、別図( 実施工程表 − ryuutoukyou-jisshikoutei.xls
)のとおり進められる予定で、概ね2000年時点で、単位圃場を60haとする優良農地が姿を現す。
この地域の主な作目は、大豆・小麦・トウモロコシなど。
これらの単位面積当たり収穫量は、表1( 別図 : 単位面積当たり収穫量
− ryuutoukyou-tannshuu.xls
参照 )の1992年実績値の水準にあり、開発によって概ね2.3倍ないし2.8倍の単収が得られる。
表 1 単位面積当たり収穫量(単位:トン/ha)
水稲 | 小麦 | 大豆 | トウモロコシ | 甜菜 | タバコ | 雑穀 | 特用作物 | 蔬菜 | |
'92年実績値 |
2.68 | 1.98 | 1.22 | 2.57 | 12.50 | 1.86 | 1.95 | 0.75 | 72.36 |
計画値 | 7.50 | 4.50 | 3.00 | 6.00 | 35.00 | 2.50 | 3.00 | 1.00 | 25.00 |
作目別作付け計画面積は、表2( 別図 : 作目別作付け計画面積
− ryuutoukyou-sakutsuke.xls
参照 )のとおり、水稲20,000ha、小麦7,850ha、大豆6,540haである。
表 2 作目別作付け計画面積(単位:ha)
水稲 | 小麦 | 大豆 | トウモロコシ | 甜菜 | タバコ | 雑穀 | 特用作物 | 蔬菜 | |
'92年実績値 | 3,333 | 9,921 | 11,492 | 9,159 | 2,450 | 2,530 | 723 | 160 | 402 |
計画値 | 20,000 | 7,850 | 6,540 | 3,930 | 3,930 | 1,310 | 1,810 | 600 | 200 |
開発によって期待される生産量は表3( 別図 : 作目別期待生産量
− ryuutoukyou-kitaiseisanryou.xls
参照 )のとおり、水稲15万トン、甜菜13.7万トン、トウモロコシ2.3万トン、大豆1.9万トンとされている。
表 3 作目別期待生産量(単位:トン)
水稲 | 小麦 | 大豆 | トウモロコシ | 甜菜 | タバコ | 雑穀 | 特用作物 | 蔬菜 |
150,000 | 35,325 | 19,620 | 23,580 | 137,550 | 3,275 | 5,430 | 600 | 5,000 |
水稲と甜菜の作付け面積を現状より大幅に増やす要因は、表4( 別図 : 作物便益
− ryuutoukyou-sakumotsubeneki.xls
参照 )のとおり、作物便益の比較優位性にあると思われる。
表 4 作物便益(単位:千元)*1USドル=5.8元
水稲 | 小麦 | 大豆 | トウモロコシ | 甜菜 | タバコ | 雑穀 | 特用作物 | 蔬菜 | |
粗収益 | 166,200 | 34,407 | 23,603 | 7,451 | 35,213 | 6,403 | 2,318 | 412 | 5,700 |
生産費 | 33,995 | 11,029 | 7,691 | 3,769 | 8,894 | 3,411 | 1,117 | 160 | 1,523 |
純収入 | 132,205 | 23,377 | 15,912 | 3,682 | 26,319 | 2,992 | 1,201 | 252 | 4,177 |
建設工事は、ダム、頭首工、河川堤防、幹線排水路、灌漑用水路の建設を主とする。
迎面山地域に建設されるダムの総貯水量は4.5億トン。
河川堤防は、延長75kmにわたり築堤される。
幹線用・排水路の延長は、各々172km、186kmと計画されている。
このように、各工種とも施工量が膨大であり、施工期間も限られていることから、円借款によって供与される外貨(日本円)は、主としてダム建設工事向け大型施工機械の調達に充てられると見られる。
<出典:新潟県日中友好協会会報 第21号 1995年3月13日発行>
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