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T. 事業の概要 中国黒龍江省の「嫩江流域荒漠化地区生態林建設計画」に係り、第二次ミッションを派遣した。 このミッションは、平成15(2003)年12月に実施したコンタクト・ミッションを補足するものと位置付けられる。 1)事業名 中国黒龍江省・嫩江中流域荒漠化進行地域における生態保全林造成技術確立支援事業 2)事業の実施期間 平成16(2004)年7月18日〜平成16(2004)年7月28日 3)中国側協力機関 黒龍江省外事弁公室・黒龍江省林業庁・黒龍江省林業勘察設計院・黒龍江省防護林研究所 黒龍江省防護林研究所新江実験林場・黒龍江省大慶市杜爾伯特蒙古族自治県林業局 黒龍江海外旅游総公司・黒龍江省科学技術庁・東北農業大学資源環境学院 黒龍江省農業委員会・黒龍江省水利庁・黒龍江省測絵局 U. 事業の実績概要及び効果 1) 事業の実績概要 (1) ミッションの構成
(3) 調査場所 調査の場所は主に、嫩江中流域の新江実験林場と大慶市杜爾伯特蒙古族自治県である。 杜爾伯特蒙古族自治県は、嫩江中流域でも最も荒漠化が進行している地域である。 (参照:下図)
黒龍江省林業庁・黒龍江省防護林研究所と共同し、調査研究を行った。 (1) 嫩江中流域における荒漠化地区生態林建設計画の概容 (参照:事業の写真及び関係印刷物P1ダウンロード MS−WORD) (2) 黒龍江省防護林研究所 @ 同研究所は、選抜育種や品種改良等の試験研究を長年にわたり行っており、嫩江中流域の厳しい環境条件に適応できる樹種を開発している。最近黒龍江省内で植栽されるポプラのほとんどは、この研究所で生産された品種である。 A 組織培養によりポプラの優良品種を生産している(挿木の活着率の悪さのため)。 B 苗畑ではポプラ類とマツ類が育成されている。この他、低花木を含めて試験研究を行っており、特に沙棘(サジー:たわらぐみ科orなわしろぐみ科の植物)に関する試験に力を入れている。 (3) 新江実験林場 新江実験林場において、嫩江川岸の河川浸食による土砂流出現場と、植栽後38年を経過した「樟子松」の林及び12年経過した「銀中楊」の林を調査した。 嫩江の川岸では水衝部が浸食されつつある状況を視察し、植栽による防備技術の確立につき協力を得たいとの提案を受けた。 「樟子松」と「銀中楊」の林は良好な生育状況を示していた。「樟子松」の大きいものは胸高直径30cmを超え、「銀中楊」は十数年で同30cm近くまで生長している。同地域の過酷な環境条件を考えると驚異的な生長ぶりであったが、あくまで苗畑や実験林の延長であり、豊かな森林、生態的に安定した森林にはなっていない。 (4)大慶市杜爾伯特蒙古族自治県白音諾勒郷 飛砂防止を目的とした生態モデル林の造成候補地を調査した。 3) 協議の結果 黒龍江省林業庁・黒龍江省防護林研究所との協議の結果、以下のとおり合意した。 (1) 防護林研究所内に、「嫩江流域荒漠化地区生態林建設協力事業」担当として許成啓所長以下5名のプロジェクトチームを編成することで合意した。 (2) 「嫩江流域荒漠化地区生態林建設協力事業」の目標を次の二点に置くことで合意した。 ア. 立地条件の異なる丘陵区、平原区、風沙区の3つの地域に適した安定した生態林を建設するための基礎的な調査研究を行うこと イ. 新たに樹種検討を行ってモデル試験区を造成すること (3) 林業庁と防護林研究所並びに同県林業局との協議の結果、平成17(2005)年度から実行予定の「新潟県黒龍江省 友好・共生の森づくり」の予定地を、白音諾勒村小学校裏手地区に決定した。 (参照:事業の写真及び関係印刷物P2〜P3ダウンロード MS−WORD) (4) 「嫩江流域荒漠化地区生態林建設協力事業」において日本側から導入する知識や技術並びに中国側が投入する知識や技術は、以下の図式に沿って継承・発展させることで合意した。 ![]() 4) 事業の効果) 第二次ミッションは、(財)新潟市国際交流協会の助成を得て計5点の調査機器を持参し、黒龍江省防護林研究所の所員を対象に機器の操作方法並びに測定データの解析手法等の技術移転を行った。 (参照:事業の写真及び関係印刷物P4〜P8ダウンロード MS−WORD) その結果、事後の継続した調査を可能ならしめる基盤を築くことができた。なお、持参した調査機器は黒龍江省林業庁に寄贈しました。 V.今後の課題 2回にわたるミッションの調査により、次のことが明らかとなった。 1) 広大な荒漠化した土地を有する当該地域の植林の必要性と緊急性 2) 限られてはいるが良好な生育を示す樹種があること 3) 現状はいずれもパイオニア的樹種の一斉林であるため、将来安定した森林を形成するには人工的に遷移誘導を図ることが必要であること 4) 「嫩江流域生態モデル林建設計画」では、どのような構造の森林に誘導することがこの地域の生態林としてふさわしいのかを重点的に研究し、今後の生態林建設に役立つガイドラインを作成することが先ず必要であること |