第四面


龍頭橋ダムサイトに立って 佐野  正人


 いよいよ、中国へ七泊八日の旅である。
 この旅は、中国黒龍江省より県日中友好協会へ父=佐野藤三郎との関連で「龍頭橋ダムが完成しつつあるので、親族をご招待したい」との依頼があって実現した。
 このような招待は初めてで、奥村俊二県日中友好協会理事長にいろいろと相談をしながら母とも話し合った結果、本来なら母と私が参り先方に表敬訪問すれば良かったのだが、母が膝が悪く長い歩行が困難なために私ども夫婦で行くことになった。しかしながら先ほども述べたとおり、このようなことは初めてのことなので奥村理事長に同行してもらうことになった。
 メンバーは、私ども夫婦、奥村理事長、松本公治亀田郷土地改良区事業部長、三富繁昭三富設計社長の5名である。
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 9月24日午後12時15分の新潟空港発で一路哈爾濱へ。哈爾濱着が1時40分であった。そのままホテルへ直行し、4時30分より黒龍江省外事弁公室表敬の予定であったが、先方の都合により食事後部屋へ。
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 翌25日には、哈爾濱から汽車で約5時間をかけ佳木斯へ。 その5時間のあいだ1時間位は山岳地帯であったが、4時間は小麦・大豆・トウモロコシ、そして日本がセーフガードを行ったネギ畑であった。
 畑の向こう側は全く見えなく、同じ風景を4時間も見せつけられ、余りの広さにただ驚くばかりであった。
 
 農家の1カ月の所得が5千円位で、中国全土が国有地であり農家はそれを借り農業を行っている―、と奥村理事長より聞きながらの旅であった。  
 ようやく佳木斯へ着いたのは午後5時。ここは黒龍江省の北に位置するので5時には暗くなり、駅構内には所々に外灯が点っていた。そこから「農墾ホテル」へ。
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 26日には三江平原へ、9人乗りのワゴン車で出発。
 三江平原は道路が整備されており、日本で言うと外環状線を行くというような感じであった。土地も広いが、運転手も荒い運転をする。時速130`のスピードで3時間走っても平原の末端まで行かず、それから約10分後ようやく平原を抜けた。
 平原は全て整備されており、あとはダムからの灌漑を待つばかりとなっている。それにしてもとにかく広大である。
 佳木斯を出発して4時間半、目的地のダムに着いた。
 ここは宝清県龍頭橋地区、旧「満州」である。
 1945年の敗戦で数多くの「開拓民」が亡くなった場所であり、ダムの手前には当時の橋『龍頭橋』が今も残っている―、と奥村理事長より小さな声で聞いた。
 ダムに着くと関係者が待っていた。
 話しを聞きながら昼食をとる。
 
 昼食時、関係者より、「今はもう9月、これから雪も降るので竣工式ができません。来年5月頃に竣工式を行いたいと思いますので、皆さんまた来てください」と、竣工式への参加を求められた。
 ダムは日本のダムと違い盆地状の地形に設けられており、日本のような山あいにコンクリートを打設する方法ではなかった。
 このダムは、父が黒龍江省より建設支援の依頼を受けたものであるが、民間ベースから国ベースに移行し円借款でできたダムであり民間のおおぜいの皆さんの苦節20年の汗の結晶とも言えるダムである。
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 27日、佳木斯より哈爾濱へ。
 哈爾濱に着くとすぐに黒龍江省の人たちが歓迎会を行ってくれた。
 その ときに、「私たち中国人は井戸を掘ってくれた人を忘れません」と言われ、『国土も大きいが人間も大きい人たちだ』と感動させられ、フッと父を思いだし、『親父、長いあいだ本当にご苦労様でした』と心のなかでささやいた。
 またこの宴でも、来年に竣工式を行うのでよろしくお願いします、とのことであった。
こちらからも食糧問題を聞き返すと、「今年は少し余る位の収穫がありました。今後三江平原は国の命令で世界の食糧基地として開拓を行います。関連の灌漑施設を早く着工したい。」と言っておりました。



第五面


子どもたちは頑張った


 栃尾市日中友好協会は同市教育委員会の支援を得て、「第三回フレンドリー・ホームステイ事業訪中団」(団長=馬場潤一郎新潟県議会議員、計15名)を派遣しました。
 同訪中団は、哈爾濱市教育委員会の招聘を受けて実施されたもので、日程は8月1日から6日まで。
 団の主役は、同市立下塩・東小学校の児童生徒9名でした。
 以下は、秘書長として団をお世話された栃尾市日中友好協会副会長西片美津男さんの訪中記です。


8月1日(水)
 やや定刻に哈爾濱空港に着く。
 哈爾濱市教育委員会の人たちと 栃尾から黒龍江大学へ留学している小林由和君が出迎えてくれまし た。
 宿泊先の教育賓館に直行するかと思っていたら、市内に在る「東北虎園」に向かう。
 虎が自然のなかで何十頭も放し飼いにしてあっ て、子どもたちは興味深々。楽しそうに騒いでいました。
 その後、教育委員会を表敬。
 その夜は歓迎パーティー。熱烈歓迎を受けました。第一日目は、大変忙しい一日でした。
8月2日(木)
 午前10時、哈爾濱市経緯小学校を表敬訪問。14年前と同じように、同小の子どもたちのプロ的 とも言える歓迎の演技に、われわれ大人も子どももビックリ。
 それにもめげず、栃尾の子どもたちも即席合唱団で2曲を堂々と披露しました。
 次は、黒龍江大学を表敬訪問。 同大には栃尾から過去6名の留学生を送り出し、4名が卒業し、現在2名が就学中です。
 今後も栃尾から留学生を送り、両地の友好関係の継続を祈念したいものです。
 休む間もなく、黒龍江省外事弁公室へと向かう。劉主任、趙副主任、劉副処長が応対して下さいました。
 少しハードなスケジュールの今日一日。 明日は北京。
 みんな早く寝ましょう。
8月3日(金)
 忙しかった公式訪問も終わり、普段着で朝早めに教育賓館を出発、北京に向いました。
 随行は、教育委員会外事処の甄処長。
 子どもたちは昨日の緊張感から解放されたのか、ひときわ騒がしかった。
 天壇公園を見学。その後、天安門広場近くのレストランで昼食。故宮のあまりの広さにビックリ。明日は万里の長城。また歩きっぱなしの一日です。
 おやすみ。
8月4日(土)
 万里の長城「八達嶺」まで、高速道路で2時間半で着いた。
 1時間くらいの自由行動。迷子にならないように気を付けてと、3人の随行を付けて送り出した。
 昼食の後、次の見学先の「明の十三陵」にバスは走る。余りに多くの見学者で、子どもたちは何も見えなくて、ただ歩いていただけのように感じられた。
 今日の観光はこれで終わり、と思ったらもう1個所あるとのこと。子どもたちみんな小さな声で「もうホテルに帰ろうよ」とつぶやいていた。
 大人たちも同じ気持ちだった。最後の見学地は、北京動物園と海洋水族館。やはり中国。こんな大きな水族館は日本にはない。
 夕食の「北京ダック」は本当においしかった。
 さあ、明日はまた哈爾濱だ。
8月5日(日)
 哈爾濱に12時20分着。
 教育委員会の皆様がまた迎えに来てくれていました。恐縮します、いつも。
 最後の表敬訪問先、撫順小学校に向かう。経緯小学校と同じように、先生と子どもたちが、一生懸命熱烈歓迎をしてくれました。馬場潤一郎団長の「北国の春」の熱唱が印象に残りました。
 これで、公式訪問は全て終わりました。 大人たちはともかく、9人の子どもたちは本当に頑張った。今自分がどこに居るか定かでないかも知れないのに、中国で堂々といろんな出会いを経験した。将来、きっと、素晴らしかったと感じることができるでしょう。
 そう祈りたいものです。
 答礼パーティーには、哈爾濱市教育委員会の石主任が出席された。今年4月に来栃されて以来の再会だ。
 明日はいよいよ帰国の途につく。
 今晩、子どもたちは眠れるかな?
8月6日(月)
 「再見!哈爾濱」。関係各位の皆さん、大変ありがとうございました。機会がありましたら、また、日本、新潟、栃尾でお会いしましょう。お世話になりました。
 午後2時過ぎに、栃尾市民会館前に到着。親たちの笑顔、子どもたちの笑顔。今まで以上に親子の絆が深まったのではないでしょうか。今後も、両地、両国の友好関係は子々孫々に到るまで継続されることと思います。


煙台市農業科学研究院代表団  農家と実地交流 

中国農業の底力…ひしひしと伝わる


 中国山東省「煙台市農業科学研究院」代表団 が、県日中の招聘で来県 しました。
 本年4月、黒井と山本昭二県日中常任理事が「2001中国(寿光)国際蔬菜博覧会」を視察した過程で、都市近郊農業に関心を寄せる農業関係者の一人として同農業科学研究院を訪問しました。
 その際の、―新潟県が日本有数の農業県であることから新潟市の近郊農業を視察し同研究院の今後の研究に活かしたい―との要望を受け招聘に至ったもので、代表団は同研究院副院長の林祖軍団長を始め一行5名。
 9月26日に新潟入りし、午後、早速、新潟県園芸研究センターを視察。
 翌27には、萩屋薫新潟大学名誉教授より同行いただき、新津市梅ノ木の木口農園、同市花卉総合センター、新潟市両川の梨畑、同市の山我チューリップ農園を視察。
 28日は、朝方の豪雨をついて新潟市園芸センター、同市竹尾花卉組合の青木三栄さん宅、同市の三膳藤蔵さん宅、同市の細川洋蘭農園、同市の青木誠一さん宅を訪問し、ユリ・薔薇・苺・チューリップ球根・蘭の栽培に従事している農家の方々と実地に交流いたしました。
 代表団一行はいずれも30代・40代の新進気鋭若手研究者。 訪問先では、日本人が舌を巻くほど熱心に質問を連発していました。
 「煙台市農業科学研究院」は、1万平方bのコンピュータ制御温室や1800平方bの組織培養施設を持ち、花卉や苗木新品種の研究開発と販売普及や輸出農産物を専門的に研究開発する山東省有数の機関です。
 既に、胡蝶蘭・ポインセチア・アンスリウム等高級花卉の技術研究実績を有しており、「煙台農業高新技術示範園」と「山東省果業高新技術示範園」の管理運営にも当っています。
 一行の研究熱心さを目の当たりにするにつけ、中国農業の持つ底力をひしひしと感じざるを得ませんでした。

(県日中監事 黒井 哲司)



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