<研究主題>
課題解決に向けて、ねばり強く考える子どもの育成
(1)昨年度までの取組から
昨年度までの3年間は、「見通しをもち、進んで表現活動に取り組む子どもの育成」を研究主題に、国語科・物語教材の実践に取り組んできた。実践を通して次のような成果と課題を見ることができた。
○単元のゴールとして一人ひとりが自己表現する活動を設定したことにより、子どもが積極的に教材に向き合い、見通しをもって読みを深めた。
○発表活動を地域・保護者に積極的に公開したことにより、子どもたちの意欲が高まり、自分なりの思いや考えをもちながら表現活動に取り組んだ。
○話し合い活動の場を設定し、読み取りの浅い子が友達の意見の良さに気付くことを通して、自分の読み取りを見直し、深めていた。自分の考えが教師や友だちに認められることにより、次の学習への意欲にもつながった。
○3、4年生の授業で、保護者や家庭の協力を得て、子どもと保護者が共に物語を読み解釈するなどの活動が展開された。(家庭学習)
○教科書の教材文では、どの子も深く読み取ることができた。しかし、初めて出会う物語文では、内容を十分に読み取れる子が少ない。自力で読む力を系統的に指導する必要がある。
<成果のまとめ>
○学習に見通しをもてると、子どもは積極的に問題を解決しようとする。 ○学習の成果を発表する機会を設定することにより、子どもたちの学習意欲は高まる。 ○友だちとかかわりながら学習することにより、子どもたちの学習の楽しさが増し、やり遂げようとする意欲を高めることができる。 |
(2)児童の実態から
○明るく素直であり、与えられた課題に対してまじめに取り組むことができる。
○一人ひとりの活躍の場が多くあり、発表力やリーダーとしての力が身に付いている。音読や劇などの表現を得意とする子が多い。
○新しい課題を前にすると、教師や保護者・上学年児童に頼りがちな面がある。自力解決の意欲がやや弱い。基礎・基本的な内容を定着させ、身に付けた基礎・基本を基に、意欲的に課題を解決していく力が必要である。また、解決への見通しを立てるための各教科に特有のスキルを明らかにして指導を行うことが大切である。
○書く活動(描くも含む)における個人差が大きい。自分の考えを言葉や図、絵などで表現することに苦手意識をもつ子どもが多い。書くことにより、思考力を鍛えることができると考える。一層書く力の低い子への手立てを考える必要がある。
○自分の考えをみんなに分かりやすく説明することに苦手意識をもつ子が多い。
○CRT学力テスト(H19年1月実施)の結果より
算数科において数量や図形についての表現・処理の得点率が高かった。計算などの基礎学力が定着している。一方、数学的な考え方の得点率が低かった。(全校児童の34・4%が全国平均を下回った。)普段の算数授業においても、問題場面を思い描くことができず数字だけを操作しようとする傾向がある。また、課題解決の際に、自力解決を諦め、教師を頼る子どももいる。
○NRT学力検査(H19年4月実施)の結果より
国語科において、「読むこと」の領域が高い数値となった学年が多かった。校内研修で物語文の読み取りに重点をおいたこと、読書を奨励した成果と考える。また、「言語事項」が全ての学年において高い数値であった。月例テスト、全校テストの実施によって、漢字の定着を図った効果であると考える。
算数科においては、全校平均が各教科いずれも偏差値52以上であった。どの学年も、学年毎に学習が進められるように単式化を図り、分かる授業に努めた成果と考える。しかし、初めて目にする問題に戸惑う傾向も見られた。
(3)今年度の研究主題
児童の実態とこれまでの研修での取組を踏まえ、子どもたちに付けたい力は、課題解決に向けてねばり強く考える力と自分の考えをいろいろな方法で表現する力であると考えた。自分なりに苦心して解答したときの喜びを味わい、その達成感を次の課題解決への意欲につなげる子どもを育んでいきたい。
そこで、今年度の研究課題を「課題解決に向けて、ねばり強く考える子どもの育成」と設定した。算数科の学習において、既習事項を用いながら課題を解決すること、考えたことをいろいろな方法で表現する学習を通して、一人一人の思考力を鍛え、研究課題に迫っていきたいと考える。
研修に係わるキーワードを次のように掲げる。
課題解決のための指導の工夫 学び方のスキルの定着 ↓ ↓ 課題解決に向けて、ねばり強く考える子どもの育成 ↑ 学力向上のための日常的な取組(基礎基本の定着、表現力の育成) |