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−弥彦競輪50年の足跡−



(最終回)

 50 周年を迎えた弥彦競輪は11月で今年度の全日程を終了する。2年掛けで連載してきた弥彦競輪物語も今回でいよいよ最後となる。オリンピックの話題、現在の競輪界や新潟県選手会を中心に新しくスタートする21世紀に向けての展望などを紹介する。

       競輪からケイリンへ

 大盛り上がりだったシドニー五輪。自転車競技ではケイリンが新種目に採用された。太田真一、神山雄一郎の最強コンビで臨んだ日本だったが、残念な結果に終わった。しかし、スポーツ界の最高の舞台であるオリンピックでケイリン競技が行われた意義はたいへん大きい。日本の競輪の活性化にも繋がるビッグニュースだった。

  一方、日本の競輪界はファンの減少、売上のダウンで頭を痛めている。この状態を打破するために、競輪にストーリー性を持たせたグレード制の導入や、現在の3層別から2層別にという案も出ているが、決定するまでには至っていない。

競技規則にしても、期末になると事故点による足かせで本来の競走ができない選手の続出を防ぐために、重注、走注を事故点から撤廃したが、結局は懸念された落車等が増えたのも現実。これもファンのためにと考えられたことだが、必ずしもファンのためになっているとは言い難い。

     特別V5 小橋正義が電撃移籍!

 さて新潟県選手会だが、21世紀最後の年にビッグニュースが舞い込んだ。特別競輪を5度も優勝している小橋正義の移籍だ。特別競輪で優勝経験があるのは天野康博だけという新潟県にとっては、現役トップレーサーの移籍に大喜び。選手会にとってもプラス材料ばかりの移籍だった。中山善仁は「ひと言ひと言にプロとしての重みがあり、プロ意識に目覚めた。練習でも人一倍の練習量をこなしているし、負けないように頑張らないとという気持ちになる」。また諸橋愛も「レース前の集中力がすごい。練習で一緒になることはないが、競輪に対してしっかりした考えを持っているので、見て学んでいます」と歓迎。今後の県選手会は小橋、阿部康雄らを中心に大きく発展していきそうだ。

さらに今年は84期生の渋川聡士田村武士が4月に、85期の藤原憲征佐野多喜男が8月にデビュー。渋川と藤原は二世選手として脚光を浴びるが、特に藤原は3場所であっさりA級特進を決めるなど将来性の高さをアピールした。A級2戦目の西武園でいきなり準優勝し、3場所目の地元弥彦でうれしいA級初Vを決めた。今後の活躍が楽しみだ。現在41人の県選手会だが、21世紀元年となる来年も新たにデビューする選手もいて、70期以降が約半数を占める。若手の活躍によっては大きく飛躍する可能性を秘めており、期待は大きい。

 最後に貴重な資料を提供してくださった故平出次男氏に改めて感謝し、筆を置きます。 (おわり)



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