8月には各地の競輪場で、86回生の新人たちがデビューする。遠藤清彦さん(53)は社会人生活3年を経て、29回生として72年にデビュー。11年間、選手として活躍し、KPKの始まった83年から今年の3月まで、今度は日本競輪学校の教官として18年間、選手を養成する立場で競輪界にたずさわってきた。 遠藤さんのまくりは穴党のファンを喜ばせた。「読み通りになって勝てたら面白いんでしょうけど…」。楽しかった思い出は年に何回か行った合宿のことと、「何万人のファンの前で走れる。ヤジでも何でも、その声援の中で走れる気持ちのよさ」。だが10年走って、準決に進めなくなったあたりから、何か違うことがしたくなった。そこへ競輪学校の教官試験の話。さっそく受験して合格。83年の4月から選手の卵たちを教える立場に。 「52回生から86回生まで、直接、担任という形で、また統括する立場で、3400人くらいを見ましたかね」。昨年の弥彦記念を制した鈴木誠と小橋正義は遠藤さんが担任をした生徒だった(在校生は大体、8クラスに分かれて行動する)。「自分的には感無量でした」と微笑む。「高木隆弘も適性で入ってきて、ちぐはぐな乗り方で、弱かったのが、タイトルが取れるほどに強くなりましたからね」。 それと、遠藤さん自身が感じたのはトレーニングの方法とそれに対する考え方がまだ競輪界は遅れていること。「ベテランたちがやって、経験でわかっていることしかやっていない。それは今の新人たちもそうです。自分がどれくらい強いのか、わかっていない選手が多い。すごい素材なのに…。そういう意味でも意識が変わっていかないと」。 |