バンクのヒーロー・バックナンバーはこちら

  ベテランの高橋弘治選手(45・40期)が、9月2日の弥彦競輪で、通算300勝を決めました。先行、逃げ切りの高橋選手らしいレースでの達成でした。今回の「バンクのヒーロー」は高橋選手の素顔に迫ります。


 - 300勝、おめでとうございます。
 高橋 区切りの勝ち星ですし、やはりうれしいですね。今年の11月で選手生活25年目に入るんだけど、それまでに300勝を達成しておきたかったですから。

 − 地元の弥彦での達成でしたね。
 高橋 いわき平で299勝目を挙げてから、立川、青森と走ったんですが、本当はそこで決めたかった。「クリエート」(弥彦競輪PR紙)にも記事が出ちゃったし、弥彦だとよけいなプレッシャーがかかってしまうんでねえ(笑)。

 − 弥彦の初日で見事に決めました。
 高橋 まあ、今回がダメなら次もあるしという気持ちでいたので、ガツガツとはしていなかったけど、地元だし自分のレースを見てもらおうとは思っていた。

 - 先行逃げ切りの高橋選手のレースでした。
 高橋 ゴールした直後は勝ったかどうかわからなかったんですが、お客さんから「よくやった」という声をかけられたので、手を挙げて声援に応えたんです。でも半信半疑だったから、挙げたのは片手だけ。自分で勝ったと確信していたら両手を挙げてかっこよくウイニングランをしたんだけど(笑)。

 - 300勝の中で印象深い勝ち星は?
 高橋 僕の場合は弱いものいじめの300勝ですからねえ。考えてみたけど、やっぱり今回の300勝目かなあ。地元の弥彦という最高の舞台だったし。レース名はB級予選だけど、僕にとっては特別競輪の決勝、いやケイリンGPを勝ったくらいの、価値ある勝ち星です。

 - 新潟では藤原実さん以来、2人目の300勝です。
 高橋 1場所に1勝くらいずつして、コツコツと300勝に近づいていったんだけど、小橋君が急に追撃してきたでしょ。彼は1場所に2勝くらいするもんね。彼よりは早く達成できたらいいなとは思ってはいたんだけどね。藤原さんは300勝を「通過点」って言っていたけど、僕は「あとは散るのみ」です(笑)。

 - 苦しかった時期はなかったですか?
 高橋 258勝をしてからぜんぜん勝てなくなった。何をやってもダメだったので、思い切って1期(4か月)休んで練習したことがありましたね。その時はさすがに苦しかった。
 また、今は競走得点70点との戦いです。70点という点数はさすがに重いですよ。選手を続けられるか、続けられないかの点数ですからね。来年の4月から制度が変わって二層制(全選手をS級とA級に分ける)になるらしいので、今後も競走得点を維持できるか不安はあります。

 - デビューから一貫して先行勝負の戦法ですが?
 高橋 追い込みに転向しようなんて思ったこともないですね。まくりが出たらいいなとは思ったけど、器用ではないので。若い選手は結果を求めて戦法をすぐに変える場合が多いけど、あとあとを考えたら「もっと自力で頑張れ」と思いますよ。

 - 最後に、今後の目標はというと?
 高橋 選手としてはもう散るだけなんでねえ。ただ、自分の刺激になればと、10月にイギリスで行われる自転車のマスターズ世界大会にエントリーしたんです。45〜49歳の部の750m独走とスプリントに出場しようと思っています。自分は45歳で、僕のクラスでは一番若い。なんとかいい結果を残せたらと思っています。自転車が好きなので、今後も長いこと選手でいたいですね。