バンクのヒーロー
諸橋 愛
(79期・S1)


 ―アジア自転車競技選手権から全プロ大会と、5月前半は強行軍でした。
 諸橋 5月3日にアジア選手権が行われるタイのバ ンコクに出発して、5月11日の朝に帰国。その足で京王閣に行って全プロの個人追い抜きを走った。疲れたとしか言いようがない日程でした。

 
―それでは、アジア選手権のことから聞きますが、4キロ団体追い抜きで3位。どう評価したらいいでしょう。
 諸橋 優勝候補だった韓国が出場してこなかったから、僕ら日本チームが優勝の最右翼だと考えられていました。ただ、予選がうまくいかなくて。ハイペースで行ったんですが、まず1人が隊列から離れてしまって、僕も残り1キロくらいからペースについていけなくなった。それが影響して予選のタイムが4位。決勝には行けず、3位、4位決定戦に回ることになってしまった。

 
―悔いが残る結果ですか?
 諸橋 実は当日の朝、僕が遅刻してしまって。本当に責任感がなかった。チームワークが大切な団体追い抜きなのに、その輪を僕が乱してしまった。チームのみんなと練習で合わせることもできなくなってしまったんで…。

 
―叱られた?
 諸橋 その日の夜のミーティングのお題が、「チームワークとはなんぞや」。僕の名前はひと言も出てこないんだけど、すべて僕に対することなんですよ。もう、反省、反省でした。

 
―続いて、全プロですが。
 諸橋 もう疲労の極地でした。タイからの飛行機の中で睡眠が取れたのは1時間くらい。タイにいるだけで「何か疲れますよねえ」と、メンバーの窓場加乃敏(京都・59期)さんと話していたくらいだったんで、帰国してからの状態は最悪でした。何とか4キロ個人追い抜きで3位だったんですが、表彰式は師匠の小川隆さんに変わってもらいました。

 
―そこまでして参加する自転車競技の魅力はというと?
 諸橋 競輪は人とのきそい合い、食うか食われるかの世界なんですが、自転車競技、特に団体追い抜きは本当にチームワークの競技。違う意味でのプレッシャーがあるし、そこが魅力でもあります。

 ―全プロの結果、世界選手権の候補選手に選ばれました。
 諸橋 競輪のあっせんにもよるけど、7月の全日本選手権にエントリーしてみるつもりです。