バンクのヒーロー

S級初の決勝(1月21日・岸和田)を、見事に勝った川村昭弘選手(81期・S2)。苦しんだ時期もあったが、地道に努力をしてきた成果が出た。

 ―岸和田でいきなりのS級初優勝(1月21日)でした。
 川村 僕はぜんぜん普通なんですが、周りが違うというか。「優勝、おめでとう」と結構言われたし、冷やかしなんかもありました。

 ―岸和田のことを聞かせて下さい。
 川村 自分なりに仕上げて臨んだつもりの防府(1月7〜9日)が、全くいいところなしで終わって(8着、5着、8着)。落ち込んだんですが、もう開き直ってやるしかないと。初日はライン戦だったんですが、準決勝、決勝は単騎で、自分の好きなように走った。ノーマークの状態で戦えたのがよかったのかもしれません。

 ―決勝は逃げた志智俊夫選手(岐阜・70期)の番手を奪っての差し切り勝ちでした。
 川村 前へ前へと踏んでいったら、自然と志智さんの番手に入った感じでした。

 ―ゴール後はガッツポーズかなんかしたんですか?
 川村 S級では初めての決勝でしたから、勝てるなんて…。あまりにもアッサリと優勝できてしまったので、うれしいというより、あれっという感じで。あれっと思いながら、敢闘門にそのまま引き上げていきました。

 ―続く松戸(2月11〜13日)でも決勝に進出(7着)。本物じゃないですか?
 川村 南関ラインが大連係した決勝は何もできなかったけど、連続で決勝に進めたのは、やはり自信になった。

 ―何が変わったんでしょうか?
 川村 それまでも、自分なりには十分な練習を積んでいたと思う。でも、それに見合った結果がなかなか出ない。「俺ってこんなものなのかなあ」と落ち込んだ時期もあった。1月の防府も散々な成績でしたし。で、もう開き直るしかないと。「自分はやることは、ちゃんとやっている」。自分に言い聞かせて岸和田を走りました。

 ―レース的には?
 川村 自分のやりたいように走ろうと。防府まではラインで走る、イコール人任せみたいな部分があまりにも多かったんで。もちろんラインの戦いの時はラインの競走をしますけど、気持ちが違うというか。自分がやりたいように走れれば、ダメでも納得がいきますし。

 ―練習の話ですが、この冬はやはり前橋で?
 川村 僕の場合、家庭もあるので前橋に行きっぱなしというのではなく、新潟と行ったり来たりでした。前橋には3泊4日くらいのスケジュールで行っていたんですが、合宿に行くような気持ちでした。ずっと前橋だと、ダレみたいなのが出てくるし、いい練習ができたと思う。

 ―家ではよきパパですか?
 川村 子供は2歳になりました。家にいる時は面倒をみているつもりですが、嫁には「もっと家のことをやって」と、しょっちゅう言われている。家にいないことが多いんで、頑張らないとなんですけどねえ。

 ―さて、今後ですが?
 川村 結果はもちろん欲しいけど、あまりガツガツとはしないように。岸和田も自然体で戦えたのがよかったわけですから。自分が納得がいくまで練習して、ひとつひとつレースに臨んでいきます。