July 22, 2002 UP LOAD


〔4〕今後の課題と資金需要

 教育事業“愛心工程”に取り組んでいる結果、小・中学校生徒児童の「輟学」は抑制されつつあるが、家庭の貧困や学校の統廃合、加えて1998年の水害、1999年以降三年連続の旱魃被害により、なおも解決を要する幾多の問題がある。

(1)“愛心専線”の資金需要について
 更に42台の通学用車輌購入(8万元×42台=336万元)の必要に迫られている。
 但し、車輌は三年後に「承包人」(*児童生徒の通学車輌運行を請け負っている者)の所有に帰する契約になっているため、通学難の解消には更に多くの資金を要する。
(2)“愛心餐点”の資金需要について
 更に38校の児童生徒(1,537名)の昼食難を解消するために、総額57.55万元の資金を要する。
 その内訳は、以下のとおり。
   ・校舎改修・厨房機器の購入経費(1,200元×38校=4.56万元)
   ・炊事員の給与(300元/月×10ヵ月×38校=11.4万元)
   ・燃料費(1,500元/年×38校=5.7万元)
   ・児童生徒に無償提供する食事の経費(1.2元/日×200日×1,537名=36.89万元)
(3)“救助基金会”の資金需要について
 当県の小学在校生は17,128名(うち、貧困生1,095名;特困生389名)、初級中学在校生は8,797名(うち、貧困生3,120名、特困生734名)である。
・小学生一人当たり100元/年(この額は“一費制”の標準額で、実際には足らない)を要するとして、100元×(1,095名+389名)=14.84万元の資金を要する。
・初級中学生一人当たり230元/年を要するとして、230元×(3,120名+734名)=88.64万元の資金を要する。
 従って、資金需要は合計103.48万元にのぼる。
 県財政から20万元、教育局から10万元、人民委員が5万元、そして少数の個人の義捐金によって復学を果たし得た貧困小・中学生の数は1,210名にとどまる。
 投入し得る資金の額と、貧困小・中学生が必要とする支援金の額の隔たりは、極めて大きい。
(4)“一費制”(*家庭が負担すべき教育経費を一括して徴収する制度)実施に要する資金需要について
 “一費制”の規定では、初級中学生の教育費は230元/年、小学生の同は100元/年とされている。
 当県の実状からして、“一費制”の実施に伴い、小・中学生一人当たり100元/年の不足が生ずることとなる。
 当県の小・中学生2.4万名を対象に100元/年の補填を実施するには240万元(100元×2.4万名)の資金を要する。
(5)校舎建設の資金需要について
 当県の「危房」面積は24,922平方mにのぼり、うち3,422平方mは既に改修した(投下資金額123万元・・・@360元/平方m)。
・改修を要する「危房」はなおも15,900平方mあり、398万元(@250元/平方m)の資金を必要とする。
・更に新築を要する「危房」が5,600平方mあり、369.9万元(@660元/平方m)の資金を必要とする。
 短期計画では2004年までに小中学校の統廃合を実現し、長期計画では2010年までに小中学校の統廃合を完成するとしている。
 よって、今後5年間はしかるべき比率で資金の投入を要する。
(6)教室の電化と実験設備機器の資金需要について
 当県小・中学校のうち、基準に達している電化教室は2ヵ所、基準に達している実験室は1ヵ所に過ぎない。
 その他は、実験を演示するレベルにとどまっている。
 県下の学校は126ヵ所にのぼるが、その大多数の教育設備・機器は近代的なものとははるかにかけ離れている。

〔5〕資金需要の総額と不足額

 以上を総合すると、2002年の、一次的に投入を要する資金と過年度から継続して投入を要する資金の総額は1,717.94万元(教室の電化・実験設備機器に要する資金を含まず)に達する。
 が、県政府並びに各界が投入し得る資金は637万元にとどまり、資金の不足額は1,080.94万元にのぼる。
 教育は単に教育部門の問題にあらず、経済問題、政治・社会問題である。
 目下、当県の教育はなお多くの難題を抱えており、社会各界の関心と大きな支援を必要としている。