「嫩江流域荒漠化地区生態林建設協力事業」コンタクトミッション
(概要報告)
このミッションは、JICA東京国際センターの「市民参加推進事業」による支援を得て実施しました

1. コンタクトミッションの目的
 本ミッションは、黒龍江省嫩江流域における生態林造成計画に係り、JICA(国際協力機構)「草の根技術協力」による支援の可能性を探ることを目的に派遣したものである。

2. 調査地
 調査地の新江実験林場は、チチハル市の北方、訥河市に位置する。

3. 調査地の概要
 新江実験林場は黒龍江省防護林研究所に所属し、嫩江中流域にある。
 面積は3,939ha。地勢は、平坦な原野である。
 同林場は嫩江の氾濫原であり、主要土壌は砂壌土。粒子の細かい砂土に近く、堆積厚は1〜10m程度である。砂の粒径が小さく、乾燥しているために、大量の飛砂が発生する。
 同林場は、嫩江と河川堤防の間にある水害防備林造成地区と、河川堤防の外縁部に広がる飛砂防備林地区から成る。
 1970年頃から植栽が始まっており、既に樟子松と銀中楊の林が成立している。成立している林を見る限り、生長は良好であった。
 強風時の風速は12〜13m/秒に達するが、風衝樹形は全く見られない。

4. 調査結果
 地域特性に合った有利な品種への改良も長年にわたって行われており、防護林の造成に関する技術は初歩的には確立されている。
 初期段階における森づくりは成功していると見てよいが、今後現状の方法で同齢の一斉林造成を続けていった場合、洪水や森林火災等の災害による環境の変化や病害虫の大量発生などによって大きな被害を受ける可能性が懸念される。また、生物の多様性の保全や、自然の遷移による森林の永続的な安定性、多様な森からの恵みなど、生態林としての多様な機能の発揮というイメージには程遠い。
 したがって、新潟側の技術協力は、第一の目標である防護林の機能を十分果たしつつ、多様な機能を有する安定した生態林を建設するための樹種構成や森林構造のモデルを確立することを主眼として実施することとなろう。

5. 今後の進め方
 日中双方は、JICAの草の根技術協力事業を活用すること、同事業の申請を平成16(2004)年に行うこととで合意した。