第五面


実施20年目を迎えた対中ODA 最近の傾向

1979年夏、日中両国政府は円借款についての交渉を開始。
12月、当時の大平正芳首相が中国を訪問し、中国で行われている現代化建設に対して日本はできる限りの協力をするとの意向を示し、円借款の供与を約束した。

翌80年から始まった第一次円借款を皮切りに、2000年 3月末までに計258プロジェクト、総額 2兆4,535億円の貸与を承諾している。

20年目を迎えた円借款に象徴される対中ODAの最近の傾向を、中国駐在日本大使館の公表資料からひろった。

対中ODAも、いわゆる「きめの細かい」「顔の見える」援助を指向しつつあることに留意したい。

(県日中事務局 今野 正敏)

http://www.japan.org.cn/jp/top.html(日本語表記)
http://www.japan.org.cn/ (中国語表記)

▲上は、中国駐在日本大使館の公式Webサイト。
下表は、同サイトに記述されている「最新の対中経済協力」欄の目次部分の抜粋。
そのうちの一部、“陜西省横山県武鎮中学校校舎の増築”については、全文を別に紹介する。

円借款についての記述に加え、“草の根無償資金協力”(中国語表記では“利民工程援助”としている)の実績が多数列記されていることに気づかれると思う。

“草の根無償”は、中国国内の地方公共団体や研究・医療機関及びNGO・NPOなどが実施する比較的小規模なプロジェクトに対して、そしてプロジェクトのカウンターパートとなっている日本国内のNGO・NPOの申請に対して、1件当たり数十万円から多くて1,000万円程度が無償で供与されるもの。

中国との友好協力関係発展のカギは、中国側関係機関との『協働』にあると思われる。

【 最新の対中経済協力 】

・内蒙古自治区の児童救急センターに医療機材を提供(00.8.7)
・子供達の就学と科学知識普及のため日本政府は貴州省に二件の援助を実施(00.7.27)
・中国におけるポリオ根絶が最終段階へ−日本の協力が高く評価される(00.7.11)
・共産党中央対外連絡部の対口扶貧県2県に草の根援助を提供(00.7.11)
・国家行政学院の対口扶貧県に草の根援助を提供(00.6.29)
・日本政府円借款プロジェクト「北京市地下鉄一号線」全線開通(00.6.28)
・陝西省横山県武鎮中学校校舎の増築に草の根援助を提供(00.6.18)
・中国における医薬品安全性の向上のための日本の技術協力がスタート(00.6.2)
・文物保護のための機材を河南省博物院に供与(00.5.18)
・中日友好病院における中西部貧困辺境地域の医療関係者研修に日本が協力(00.5.15)


陝西省横山県武鎮中学校校舎の増築に草の根援助を提供( 00.6.18 )

6月18日、草の根無償資金協力案件である「陝西省横山県武鎮中学校校舎増築計画」の贈与契約署名式が西安市において執り行われました。
日本国大使館谷野作太郎大使、陝西省程安東省長他が署名式に参加しました。

本件は、横山県武鎮中学校に対し三階建て教学楼一棟を提供することにより、急増する適齢生徒の入学を保証し、陝西省が重点として推し進めている九年制義務教育の普及を順調に実施させることにより同地の住民の教育水準を高めるものです。
日本国政府は、陝西省横山県人民政府に本件プロジェクトの資金として92,113米ドル(762,517.5人民元相当)を限度に提供することとしました。

署名式上で、程省長は、陝西省横山県の教育のために 9万ドル以上の援助を頂き陝西省人民を代表して強い感謝を表したい、今後も陝西省と日本の間で政治、経済のみならず観光分野等でも更に頻繁な交流が行われるようお願いしたい、西安は西北部の入り口であり交通の要地である、資源は豊富であり科学技術も発達している、西部大開発の重要性を日本の方々に知っていただくよう希望する旨述べました。

また、谷野大使は、教育は貧困脱出及び発展という究極の目的の達成のための基礎であり重要である、今般の草の根無償資金協力により輩出される人材が貴省・県全体の努力を通じて現代化建設に貢献することを切に希望する旨述べました。

草の根無償資金協力は日本の対中経済協力の一形態であり、他の援助形態と比べて金額は小さいものの、地域住民の福利の向上及び日本国民と中国人民の友誼の強化に役立っています。

中国に対する草の根無償資金協力は1991年に開始され、日本大使館においては本件を含めこれまで合計125件(総領事館が実施した案件を含め約320件)、総額8,594,385米ドル(71,144,319人民元に相当)実施されています。

第六面


柏崎刈羽日中 中国・友好の翼を企画

1990年から友好交流の一環として隔年で実施してきました柏刈日中企画(旅行主催=第一旅行サービス)の「中国友好の翼」訪中事業 は、本年で六回目を迎えまし た。

この間、会員のみならず、柏崎市・刈羽郡の 290余名の方からご参加をいただ き、当会の目的でもあります親善交流を通じて国際的視野を広げることに貢献してまい りました。

当初は一コースの実施であ りましたが、現在では、毎回三から四コースを企画し、皆さんの多様化したご希望に沿 うべく、意を用いた企画実施を図っています。

1994年には、柏崎市・刈羽郡高柳町と共催で北京・峨眉山・成都コースを設定 し、『峨眉山下橋』と刻まれた一本の橋杭が縁となった四 川省峨眉山市を訪問し、柏崎市及び高柳町が友好交流宣言を行うなど、成果を挙げました。

また、1998年には、中国有史以来の甚大な水害被害のため、三峡めぐり等の三コースは中止し、水害被害のない西方高地の峨眉山コースのみ実施、峨眉山市人民政府に市長を表敬訪問し柏崎市長のメッセージを手交し熱烈な歓迎を受けるなど、観光のみならず親善交流も図りました。

さて、本年は次の三コースを企画いたしましたので、その概要を簡単にご紹介いたします。
各コースとも柏崎発着の貸切バスを利用し、飛行機は新潟空港からの発着便です。

@三峡めぐりと上海・蘇州八日間の旅
9月23日から30日
重慶市内観光、長江三峡クルーズ、世界一の三峡ダム建設現場、宜昌市表敬訪問・市内観光、上海外灘の夜景見学など
A西安・成都・峨眉山五日間の旅
9月23日から27日
峨眉山市表敬訪問・市内観光、楽山市内観光、成都観光、西安市内・郊外観光など
B長春・哈爾濱四日間の旅
9月22日から25日
長春市内観光、哈爾濱市表敬訪問・市内観光など

(柏刈日中事務局 大掛 登)

亀田郷訪中懇婦人部 県費留学生らを招き交流

亀田郷訪中懇話会婦人部が主催して、県費留学生との交流が毎年続けられている。
今年も12人の留学生(うち 1人は国際交流員)を迎え、7月16日東蒲原郡鹿瀬町の亀田郷山荘で交流会を開いた。

参加したのは白雲峰団長らと、亀田郷訪中懇婦人部訪中懇話会婦人部から吉田和枝部長ら 4人、県国際交流協会福井雅史事務局長、山本昭二訪中懇話会会長ら役員 4人、県日中友好協会村上宗之常任理事、横越町国際交流協会串田修平氏、亀田郷地域センターなど 7人の、合せて30人。

マイクロバスで新潟市白山浦のみぎわ寮へ留学生を迎えに行き、磐越自動車道で車窓を楽しみながら一路山荘へ。
山荘では支配人らの出迎えを受けて早速温泉に入浴。
疲れをとった後、交流会に臨んだ。

吉田婦人部長の歓迎のあいさつ、白団長の答礼のことばなどセレモニーの後、宴に入った。
婦人部の手づくりのごちそうなどを囲みながら、友好的な話があちこちのテーブルではずんだ。
また記念写真のカメラにおさまり、たちまち楽しいひと時が過ぎ、山荘を後にした。

(常任理事 村上 宗之)

編集後記

中日友好協会宋健会長を団長とする国賓級の代表団が、廖承志会長来港以来21年ぶりに新潟へ来られた。
全国日中が創立50周年を迎え、10月21日に北京で2000人大集会を開くことになり、県日中からも訪中団が派遣される。
こんな大きな話題が紙面をにぎわす第32号の会報が出来上がった。

一方で、特定非営利活動法人となった当協会が黒龍江省青少年発展基金会と協力し、今年度事業の重点施策である黒龍江省辺境・貧困地区の教育施設や未就学児を援助する「希望工程」という名の募金支援活動を行う協力要請を掲載した。

佐野前会長時代から関わってきた三江平原開発の龍頭橋ダム建設工事は山本昭二常任理事が現地を訪ね、現況を詳しく伝えて下さった。

柏刈日中の友好の翼の企画、亀田郷訪中懇婦人部の県費留学生との交流など地域での活動ぶりもあり、充実した紙面になったと思っている。

友好交流は地道な積み重ねであり、日々の努力が実を結ぶことを示した会報でもある。

(常任理事 村上 宗之)


〔完〕