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新潟県日中友好協会会報


第28号

発行:1997年 7月22日


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東北ラウンドテーブル '97
食と農の未来

奥村理事長が提言


 新潟日報社など東北七県の八新聞社が主催した「東北ラウンドテーブル'97」が 5月25日から 3日間、新潟市のホテル新潟を会場にして開かれた。
 東北新時代に向けた行動指針を探ることを目的に、『21世紀の条件―東アジアの北斗七星をめざして』を基本テーマとした今年の会議で、当日中友好協会の奥村理事長が「食と農の未来」と題して提言した。


 同氏は先ず、亀田郷土地改良区と新潟県日中友好協会が黒龍江省三江平原農業開発計画に協力するに至る経緯を紹介した。

 そのうえで、中国の食糧生産量と輸出入量の推移を表によって示しつつ、近年世界的な関心を呼んでいる中国の食糧不足予想データ(下表参照)を引用、中国における食糧生産の安定的な発展は中国一国のみならず世界の食糧需給の根幹にかかわる問題であると指摘した。

 増加する人口問題を基調に、農地面積が狭小で、降水量も少なく、水質の面でも問題を抱える中国の農業…。食用農産物の自給率が年々低下する一方の日本…。

 これらの問題をグローバルに捉え、生前、数々の大胆な「農」の振興を主張し続けた佐野藤三郎氏の構想に言及した同氏は、バイオマス(生物体をエネルギー源または工業原料として利用すること)が一定の成果を挙げているとし、農業者は食糧生産にとどまらずエネルギー供給の仕事にも携わる地位にあることを強調した。

 同氏はこれに続け―

    ◇未来農業の発展のため水田や農地の高度利用に積極的に取り組むべきであり
    ◇農工一体で農産物の高度利用の研究に当たらなければならない
    ◇それらの開発計画の立案、推進は地元に暮らす者のみがつくり得る
    ◇手作りの開発計画なればこそ地元資本の関与も自ずから活発となる

 ―と提言し、これらを総合した国際協力拠点の設立がいま新潟に求められている、と結んだ。

(県日中事務局 今野 正敏)

別 表 −中国の食糧不足予想− (単位:万d)

米国・ワールドウォッチ研究所 日本・OECF
2000年 8,100 2,384
2005年 11,800 6,906
2010年 15,600 13,631

哈爾濱〜ソウル直航航空路が開通

新潟と月曜日に

ソウル経由で結ばれる

 わずか 2時間余りで、哈爾濱と韓国のソウルが結ばれることとなる。
 北航天鵝航空公司と韓国の大韓航空との合作により、哈爾濱とソウルを直接結ぶ定期チャーター便(パブリックチャーター便)が、5月26日に正式に運航を始める。
 哈爾濱〜ソウル線は、哈爾濱〜ハバロフスク線、哈爾濱〜ウラジオストク線に継いで北航天鵝航空公司が開設する 3番目の国際路線。哈爾濱〜ソウル線は、週 2便運航される。」
《 5月23日付「黒龍江日報」より》


 上記の報道の続報が、このほど、黒龍江海外旅游総公司並びに大韓航空新潟支店からリンコーコーポレーションに寄せられた。
 それによると、運航スケジュールは下表のとおりで、CJを利用し、新潟とは、ソウル経由で月曜日に結ばれる。

“北航天鵝航空公司”は、中国北方航空公司(CJ)黒龍江省分公司と天鵝航空公司が合併し1997年 1月に設立した航空会社

運航スケジュール

◆月曜日 < KE764便 > 新潟発 09:40/ソウル着 11:55
→ [ CJ6086便 ] ソウル発 13:20/哈爾濱着 14:20
◇月曜日 [ CJ6085便 ] 哈爾濱発 08:50/ソウル着 12:10
→< KE763便 >ソウル発 15:05/新潟着 17:05

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1997年度総会開催

本年度活動計画−その進捗状況

 去る 5月24日、当協会の1997年度総会がホテル新潟で開かれました。
 総会には、会員・役員合わせて約60名が出席。 1時間半の予定時間をオーバーして活発な討議が交わされました。
 総会の議案書並びに役員名簿は、過日皆様にお届けしておりますが、計画した活動の進捗状況などに触れながら、改めて本年度の活動の重点をご紹介いたします。

 ご承知のとおり、1997年は日中国交正常化25周年に当たります。
 本年度はこれを踏まえ、幾つかの特徴的な活動に取り組みます。

情報提供交流活動

 先ず、会報を年間 4回発行します。なかでも、9月には国交正常化25周年記念特集号を発行します。加えて、中国東北部の基本データを収集整理し、経済情報誌の発行に引き続き取り組みます。
 去る 2月中旬、インターネット上に当協会のホームページを開設しましたが、今後さらに内容の充実に努めます。
 会員相互の交流を深める活動として、国交正常化25周年記念祝賀会、新潟と中国との関わりをテーマとした報告会や講演会、さらに第 2回目の「地域組織交流会議」を開催します。

第12回定期会議協議事項に関連した活動

 この会議において協議された事項は、主に―

     ◇友好都市提携の拡充
     ◇技術研修生の受入れ検討
     ◇中小企業間経済交流促進
     ◇青少年交流の強化

 ―の四点です。

 友好都市提携の拡充に関して黒龍江省側から、新発田市と阿城市の提携案件に加え、大慶市と長岡市、綏化市と見附市の提携が提案されておりますので、その実現に向け関係資料を取り寄せるなど、仲介の役割を果たせるよう努めます。

 企業技術研修生の受入れ、中小企業間経済交流の促進については、総論として異議はなく、各論部分について緊密な意見交換を行なったうえで可能性を追求することとしています。

中国向けチャーター便計画への参画

 新潟空港と中国との定期航空路の開設を狙って、6月、7月、8月に各一便が計画されたのに対し、当協会は後援団体の一つとして参画しています。
 7月便は都合により取りやめとなりました。
 8月の便は、新潟空港発西安着、北京発新潟空港着で計画されておりますが、7月下旬時点で満席となっております。

青年交流の実施

 日中友好活動の次代を担う層の育成と当協会の青年組織の創設を目標に、本年は中国に団を送ります。
 経費の一部を助成することとし、地域組織や友好団体に広く参加を呼びかける予定で、中国内の交流内容などについて黒龍江省側の意見を伺っているところです。


INTERNET HOME PAGE
インターネットにホームページ開設

 インターネット上に当協会のホームページを開設しました。
 現在収載している内容(コンテンツ)は…

      ▽会報「県日中」最新号(全文)
      ▽経済情報誌「黒龍江省経済」(全文)
      ▽地域組織の一覧▽農業地域開発計画への技術協力年表
      ▽三江平原龍頭橋ダム建設 PJ の概要
      ▽定期会議の開催経過年表
      ▽代表団派遣・受入経過年表
      ▽友好関係提携一覧

 …です。

 このうち、「黒龍江省経済」は、従来の紙媒体からインターネットへと移行したもの。
 インターネットなどの電子メディアによる情報発信は、コストが低いこと、情報更新が容易であること、空間的・時間的な制約がないこと、情報の利用や加工が容易であることなど、多くの優位性を持っています。
 中国に関しては、まだまだ圧倒的情報不足の感が免れず、まして系統立った情報の発信は皆無に等しいのが現状です。
 これらを考慮し、当協会のホームページは、収載する情報をデータベース化したうえで全文を公開することを基本にして構成しています。


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新潟県大連経済事務所

3月から業務を開始


 新潟県大連経済事務所が開設され、3月中旬から業務を開始している。

     ▽経済交流の促進、貿易・投資、経済開発等に関する情報の収集や発信及び便宜供与
     ▽物流・港湾空港利用の促進、中国路線の拡充、県内港湾・空港利用の推進

 …を主な業務とする。
 同事務所の所長・主席代表は、県職員の筑波昌之氏。
 事務所の住所等は下記。

大連市西崗区中山路147号 森茂大廈13階

TEL (86)411-369-5458
FAX ((86)411-369-5470

大連との・・・・・

交流案件が次々と

「新潟大連友好交流委員会」

今秋を目処に設立

 新潟県国際交流課を中心に各種友好団体が加わり、遼寧省大連市との交流推進の母体として「新潟・大連友好交流委員会」を設立する準備が進められています。
 これは、今春 5月の大連市での新潟県大連経済事務所開所式の折、平山知事が大連市の李永金副市長から提案を受けたもので、大連市側でも同様の委員会設立の準備に入っています。
 新潟側の準備段階での構成団体は、新潟県・新潟市・新潟経済同友会・県商工会議所連合会・県商工会連合会・県繊維協会・県日中経済交流懇話会・当日中友好協会など。

(県日中事務局長 本田 淳)


「大連新潟フェア」への出展を募集

新潟県国際経済課

 '97遼寧・大連国際友好都市ビジネスコンベンションが10月に開かれますが、新潟県(商工労働部国際経済課)はこのほど、「大連新潟フェア」のカテゴリーの下で、遼寧省や大連市の企業・団体・地方政府等に対して新潟県と新潟県内産業をアピールする活動を行なうこととしました。
 「大連新潟フェア」は、遼寧・大連国際友好都市ビジネスコンベンションと併行して開かれる、大連国際部品材料展、大連国際生活用品博覧会等の展示・商談会場に県内産業を紹介するブースを設けて実施するもので、現在、出展者を募集しています。
 詳細は、新潟県商工労働部国際経済課国際交流班にお問い合わせ下さい。

'97大連国際友好都市経済貿易商談・商品展示会

LIAONING DALIAN TRADE PROMOTION & COMMODITY FAIR FOR INTERNATIONAL FRIENDSHIP CITIES

開催期間:'97年10月 8日(水)〜12日(日) 開催場所:大連星海展示センター主催団体:大連市人民政府遼寧省外事弁公室

【 展示即売の範囲】

機械電子設備と製品/軽工業設備紡績設備と製品/石油化学工業設備と製品/建材・環境保護設備と製品
工芸美術品/医療設備と保健製品/国際ブランド品

【 プロジェクト商談の範囲】

@冶金石油化学工業機械製造電子 工業軽工業紡績業
A遼寧省の企業技術改造重点プロジェクト
B交通通信インフラ整備C農業牧畜水産食品加工


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Airport Sales Mission

県と新潟市が二団

中国へエアポートセールス団
新潟〜哈爾濱〜北京線と新潟〜上海〜西安線の開設を要望

日中航空交渉を控え


 新潟空港発中国への定期便は「新潟・哈爾濱・北京」 及び「新潟・上海・西安」の二路線の実現を期していますが、日中航空交渉が八月中旬に開催される見通しのなか、大詰めを迎えている感じがします。

 以上の事情を踏まえ、急遽,、中国へのエアポートセールス団が二団派遣されることになりました。

   ◇ 7月13日出発・・・小川副知事を団長に県港湾空港局、県日中経済交流懇話会が参加  
  ◇ 7月24日出発・・・長谷川新潟市長を団長に県港湾空港局、新潟空港利用促進協議会、新潟商工会議所、当 日中友好協会が参加

 いずれも、訪問先は、陜西省西安市、哈爾濱市の各人民政府と中国民用航空総局、中国国際航空公司、西北航空公司等の航空関係機関。
 なお、当協会からは高橋会長が新潟商工会議所の副会頭として参加した他、奥村理事長、事務局長本田が参加しました。
 また、小川副知事の団には五十嵐理事(県日中経済交流懇話会幹事)が参加しました。

(県日中事務局長 本田 淳)


中国向け定期航空路をもつ地方空港(路線・便数)

・仙台←→大連北京(CA)週 2便
・名古屋←→上海西安(WH)週 7便
・成田・名古屋→北京(JL)週 1便
・名古屋←北京(JL)週 1便
・広島←→上海西安(WH)週 2便
・福岡←→上海北京(MU)週 3便
・福岡←→上海北京(CA)週 4便
・福岡←→上海(MU)週 2便
・福岡←→大連北京(CA)週 3便
・関空・福岡←→大連(NH)週 3便
・長崎←→上海(MU)週 2便

三江平原龍頭橋ダム建設現地を

印幡沼土地改良区が視察


 印幡沼土地改良区(千葉県佐倉市)管内の農家一行20余名が、当友好協会が後援した中国向けチャーター便の第一便(哈爾濱〜大連コース)に参加、哈爾濱の日程を割いて宝清県・佳木斯市を訪問、第四次円借款の供与事業となった龍頭橋ダム建設予定地を視察しました。
 帰国後、一行は、「工事は始まっていないが、双鴨山市人民政府の係官の説明を聞き、着工間近かとの印象を受けた。ダム完成後の営農計画について意見交換を行ない、有意義であった」と語っていました。

(県日中事務局長 本田 淳)


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第四次円借款供与決定プロジェクトリスト
'96年12月24日 外務省大臣官房報道課公表
対 象 案 件 名 案 件 の 概 要 供与限度額(億円)
北京首都空港整備事業(V) 2005年の旅客需要予測3,537万人に対応するため、首都空港内に24万uの旅客ターミナルビルを増築する。 84.59
西安−安康鉄道建設事業(U) 四川省への石炭輸送力を増強するため、西安−安康間に電化単線 246.7q(トンネル 121.1q)を建設する。 25.26
朔県−黄譁港鉄道建設事業(U) 石炭輸送力を増強するため、山東省朔県−河北省黄譁間に電化複線 599qを建設する。 122.45
貴陽−婁底鉄道建設事業 貴州省及び雲南省の燐鉱石・石炭の輸送力を増強するため、貴陽−婁底間 807qを電化複線化する。 129.32
ウルムチ空港拡張事業 老朽化した空港を改善し、2005年旅客需要予測 405万人に対応するため、ターミナルビル 4万平方メートルの新設等を行なう。 48.90
蘭州中川空港拡張事業 老朽化した空港を改善し、2005年旅客需要予測 260万人に対応するため、ターミナルビル 2.5万平方メートルの新設等を行なう。 63.38
青島港前湾第二期建設事業 山東省青島市の前湾地区に、コンテナ雑貨用計 6バース(取扱能力 315万トン/年)を建設する。 27.00
貴陽−新寨道路建設事業 12幹線道路の一つである重慶湛江線の一部とすべく、貴州省の貴陽−新寨間に一級道路及び二級道路(全長 255.5Km)を建設する。 149.68
広州−昆明−成都光ケーブル建設事業 広東省・広西壮族自治区・雲南省・四川省の経済発展に伴う通信需要の増大に対応するため、光ファイバー伝送路( 4,417Km)を建設する。 53.49
蘭州−西寧−ラサ光ケーブル建設事業 青海省・甘粛省・西蔵自治区の経済発展に伴う通信需要の増大に対応するため、光ファイバー伝送路( 2,721Km)を建設する。 30.46
内陸部電話網拡充事業 新彊維吾爾自治区・甘粛省・青海省・寧夏回族自治区・内蒙古自治区・貴州省の通信事情を改善し、かつ将来の需要増大に対応するため、市内交換設備( 149.05万回線)等を建設する。 150.03
黒龍江省三江平原商品穀物基地建設事業 黒龍江省内の国有農場の農業機械更新、荒地開墾、牧畜基地基盤整備等を行なう。 149.10
黒龍江省三江平原龍頭橋ダム建設事業 黒龍江省内の宝清地区の単収増を図るべく、最大容量 5.02億立方メートルの多目的ダムを建設し、灌漑及び洪水防御を図る。 30.00
遼寧省白石ダム建設事業 遼寧省西部の大湊河地区の洪水被害を減少させ、下流域の水不足を改善するため、最大容量16億立方メートルの多目的ダムを建設する。 80.00
フフホト上水道整備事業 内蒙古自治区フフホト市の水需要増大に対応するために、一日当たり40万立方メートルの給水能力を有する上水道施設を建設する。 54.46
北京第九浄水場第三期建設事業 北京市内の水需要増大に対応するために、一日当たり50万立方メートルの給水能力を有する上水道施設を建設する。 146.80
貴陽西郊浄水場建設事業 貴州省貴陽市の水不足状況を解消し、将来の需要増に対応するため、一日当たり40万立方メートルの給水能力を有する上水道施設を建設する。 55.00
湛江市上水道整備事業 広東省湛江市の水需要に対応するため、一日当たり50万立方メートルの給水能力を有する上水道施設を建設する。 55.19
蘭州環境整備事業 甘粛省蘭州市の環境改善を図るため、ガスパイプライン及び熱供給管を建設する。また、上下水道を建設する。 77.00
瀋陽環境整備事業 遼寧省瀋陽市の大気汚染防止対策のため、銅精錬所の改善及び熱電集中供給等を行なう。 50.00
フフホト包頭大気汚染対策事業 内蒙古自治区の環境を総合的に改善するため、主要都市であるフフホト・包頭市に集中供熱・ガス供給等を実施する。 100.00
柳州酸性雨環境汚染対策総合整備事業 石炭燃焼による酸性雨対策のため、都市ガス化等を行い、また、固形廃棄物対策としてゴミ処理場等を建設する。 23.00

日中東北開発協会
「東北経済協力会議」に向け民間組織を結成

 日中東北開発協会 (東京・会長三鬼彰新日鉄相談役)で は、昨秋から中国東北三省と内蒙古自治区を対象に経済全般の発展をサポートするため、「東北経済協力会議(仮称)」の設立を通産省と中国国家計画委員会(北京)に提案していましたが、実現の見通しが立ってきました。

 今春 4月、通産省と中国国家計画委員会の次官級定期協議で、「東北経済協力会議」等、双方が提携して協議の場を設けることが合意されており、早ければ年内に第一回会議が開催される見通しです。

 現在は、協議に参加する民間を中心に「中国東北部経済協力委員会(仮称)」の結成を進めており、最終的には通産省を中心に農水省、国際協力事業団(JICA )、海外経済協力基金(OEC F)等を含め、官民一体の構成にしたいと考えています。
 なお、日中東北開発協会は、三江平原農業開発に対する民間協力の実績をもつ新潟県など、日本海側自治体にも参加要請する考えです。

(県日中事務局長 本田 淳)


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新彊ウイグル自治区の旅

昨年 8月25日より十日間、シルクロードで知られる新彊ウイグル自治区を訪れる機会に恵まれた。
日中友好協会全国本部の中国辺境 地区との交流促進のための代表団に参加してのことであった。

(2)


 8月28日、古くから東西交易の中心であるカシュガルは、コーランの声で明けた。

 西域最大のエティガール寺院、香妃の墓で有名なホージャー家の美しい廟、三万人近い職人の集まる大バザールには、絨毯、布地、帽子、飾り刀等の手工芸品や、香辛料など数々の食材がみちあふれていた。

 カシュガル地区対友協のアブラジャン・ダウティ会長主催の夕食会の後、パミール高原を越えるコングル峰(7,719メートル)の勇姿に思いを馳せ、空路ウルムチへ帰る。

 29日、車でトルファンへ向かう。
 道は天山山脈をよぎって流れる楊河沿いを走る。
 7月に発生した100年に一度といわれる大洪水のため、至るところで工事が行われ、河床には押し流された楊樹が累々と横たわっていた。
 対岸に建設中の高速道路の被害は特にひどく、鉄道もかなりの被害を受けたが、数日で修復したとか。
 数十輌の貨物列車が悠然と走っているのが望見された。

 トルファン盆地に入ると、見渡す限り砂礫の原、至るところにカレーズの竪穴が見える。
 天山の雪解け水を、古くは2000年前から、20から40Kmの暗渠を通してトルファンまで運び、灌漑用水・生活用水としている。
 これが、カレーズである。
 ちなみに、トルファンでの年間降雨量は16ミリに対し、蒸発量は3,000ミリとのことである。

 4時間半の旅の後、3時間の昼寝。
 外界は40度近い。

 夕方から「交河故城」を見学する。
 唐代に栄え、元の時代に廃虚と化したこの城は、東西を河に挟まれ、ウイグル族によって「崖の城」と呼ばれている。

 翌30日は、朝から、季節外れの砂嵐に見舞われた。
 うすれたベージュ色の世界、視界は50メートルにも及ばない。
 油田見学の予定を変更してベゼクリク千仏洞へ。午後は蘇公塔、トルファン博物館、バザール等を見学した。

 砂嵐も夕方にはすっかり収まり、夕食後、トルファン賓館のブドウ棚に囲まれた野外ステージで、歌と踊りを観賞する。
 新彊は「歌と踊りの海洋」と称えられている地、トルファンならではの夜であった。

 31日、ブドウ溝(畠)へ。
 長さ10キロ、幅 2キロの広さというから驚きである。
 続いて砂漠植物研究所の視察。広大な敷地のなかに約400種の砂漠植物が栽培され、研究されているという。
 午後、三たびウルムチへ。

 9月 1日午前10時、『 '96ウルムチ対外経済貿易商談会』開幕式に出席。
 中央から呉邦国副総理も出席して、会場は活気にあふれた。
 日本からも四社が参加、翌日の「新彊日報」によれば、初日で外国企業との契約調印は16件( 1億2,000万ドル)、国内企業との同は50件( 6億元強)に達したとのことである。

 続いて、アブラティ・アブドルシティ自治区主席と会見、歓迎昼食会で今回の訪中の意義が双方から強調され、親交を深めた。

 夕方、新彊博物館を見学。
 「楼蘭の美女」のミイラと四年ぶりの再会を果たす。

 新彊最後の夜、ボゴダ峰の真上、天空に輝く月の白さはこの世のものとは思えなかった。

 翌日北京で一泊。 3日、関西空港着。
 10日間の旅は終わった。

(県日中理事・全国日中理事 巾 昭)


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全国良寛会と鎮江市対友協が合作
中国に良寛詩碑
峨眉山市に次ぎ二つ目

 平成 9年 3月28日、中国江蘇省鎮江市焦山市公園に良寛の詩碑が建立され、除幕式が行なわれました。

 鎮江市には焦山碑林があり、中国の書道史をかざる名品約 260点がおさめられていますが、最も有名な作品は、梁の陶弘景が書いた「翳鶴銘」です。
 翳鶴銘は、特別に独立した碑亭の中に展示されています。

 良寛の詩に「翰を含んで臨すべし翳鶴帖、膝を擁して頻りに歎く老朽の身」と詠んだ七言律詩があり、良寛がその翳鶴帖を手本にして書の稽古をしたことがわかります。

 今回は鎮江市人民対外友好協会から呼びかけがあり、日本側では全国良寛会が対応し実行委員会を組織、日中共同で作業をすすめてきました。

 碑石は高さ 210cm、重さ 6トンの青石に、高さ 150cm、幅90cmの黒ミカゲ石がはめこまれ、そこに良寛の詩が刻されています。
 刻の仕上がりは最近日本では見られないくらい見事な出来栄えで、入神の作と申せましょう。
 その碑が、堂々たる碑亭の中に飾られています。

 碑亭前における除幕式、鎮江市人民政府主催の招待会(祝賀会)、日本からの答礼会等、公式行事がとどこおりなく行なわれました。
 祝賀会の席上、周大平鎮江市長に、平山県知事、長谷川新潟市長のメッセージが手渡され、今後ますます両国の交流が深まるものと期待されます。

 そのほか鎮江市博物館では「良寛・翳鶴銘中日書法名家精品展」が開催され、中国の代表書家と日本の代表書家(芸術院会員・文化功労者村上三島氏はじめ24名)の作品が展示され、盛大な開幕式が催されました。

 日本の作品はすべて中国に寄贈されますので、2月26日から新潟市の考古堂ギャラリーで「日本書道家精品展」が開かれ、日本の皆さまにも披露されました。
 また中国画院では、日中両国 の書家による交流会ももたれました。
 日本からは小島寅雄会長、斎藤信夫副会長はじめ56名が訪中し、良寛を通して両国の友好親善を深めてきました。

 時あたかも日中国交正常化25周年にあたります。 なお平成 2年 7月には、中国四川省峨眉山市に良寛詩碑が建立された例があり、この度で二つめとなります。

 峨眉山碑の時は当時新潟日報柏崎支局長をしておられた村上宗之氏、高柳町長をしておられた永井勇雄氏等からご尽力いただき、大きな成功をおさめることが出来ました。
 今なつかしく思い出しなが ら、改めて感謝の意を表したいと思います。

(新潟大学教育学部教授 加藤 僖一)

江蘇省鎮江市

◆長江と大運河が交差する地点にある風向明媚な都市で、人口は260万人
◆上海から列車で約 4時間。
◆三重県津市宮城県柴田市と友好都市関係提携

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おすすめ本

 新潟産業大学(柏崎市)教授の金田一郎さんが、NHK ブックスから「環日本海経済圏―その構造と現実」を出版した。
 金田さんは1934年東京都生まれの63歳。東大農学部農業経済学科卒で、82年、東大から農学博士の学位を受けている。
 産業大学の初代学長で、設立に努力された。また、柏崎刈羽日中友好協会の理事も務めた。
 建学の柱の一つとして文部省に示したのが「環日本海経済圏の研究・教育」で、全国で唯一の「環日本海文化学科」が設立された。
 柏崎市の飯塚市長の後を受けて理事長に就任、産業大学の確固たる地位を築くとともに、同大学教授として環日本海経済論の研究と学生の教育に情熱を燃やし続けている。
 また、中国、極東ロシア、韓国の諸大学と学術交流協定を結び、金田さん自身も頻繁にそれらの国へ行き、学者、政治家と意見や構想を語り合ってきた。
 1994年に設立された全国的な学術団体、「環日本海学会」には当初から理事として関与してきた。
 これらの実績が認められ、1997年に新潟県から「環日本海新潟賞」を受賞している。
 本書は日本、韓国、中国、極東ロシアなどの日本海を取り巻く諸国、諸地域が結合して、経済振興を同時に図ろうという金田さんの「環日本海経済圏構想」が展開されており、学者の著書だけにやや堅苦しいが、同氏の学術研究の集大成であり、一般読者のほか、学生を対象に書かれている。

(県日中理事 村上宗之)

発行所:東京都渋谷区宇田川町41-1 日本放送出版協会
定 価: 920円(消費税別)

創立10周年を記念し
柏崎市刈羽郡日中友好協会   上海少年少女雑技団の公演

会員の他、市民を招待


 去る 4月 8日、当協会の創立10周年を記念し、「上海少年少女雑技団」の公演が柏崎市産業文化会館で行われました。
 13歳から20歳の団員 7人が、何段にも積み上げられた椅子の上でポーズをとる妙技や、目隠しをしたまま次々と樽を飛び越える大技など、七つの演目を披露すると、集まった会員や親子連れの市民らは大きな拍手を送っていました。

 公演後に開かれた定時総会では、訪日団の受け入れや中国講座の開催など、今年の事業計画が決定されました。
 また、その後の懇親会には、新潟産業大学や柏崎情報開発学院で学ぶたくさんの留学生が参加し、片言の日本語や中国語で歓談の時を過ごしました。

(柏刈日中 事務局)


編集後記

 このほど、亀田郷訪中懇話会(会長山本昭二県日中理事・運営委員)婦人部の留学生歓迎会におよばれし、留学生たちと歓談した。
 同懇話会婦人部長も県日中理事を兼ねておられる。

 婦人部では毎年、黒龍江省からの県費留学生と交流を続けており、年に数回、いろいろなイベントを実施して親ぼくを深めている。  
 日中の友好事業は、訪中して中国の実状にふれ、人的、経済的、技術的な交流を深めることはもちろん大切だが、中国から来県している人たちと心をふれ合って、相互理解を深めることも大切な事業の一つである。
 こんな意味も含め、長年にわたって留学生たちを迎え、各種のイベントを実施している同婦人部の活動に感謝したい。

 中国から新潟へ来て、就職、結婚等でこの地に住んでおられる人たちにも、県日中の活動を理解してもらい、仲間になってもらえれば、なお意義深いと思う。

(県日中理事 村上 宗之)