平成19年度 学習指導改善調査研究授業
研究実践協力校 小千谷市立片貝小学校の取組


研究の概要と改善事業の受け止め

1.研究の概要
今年度の当校の研究主題は、「学び合い、自分の考えを確かにする子」である。
これは、自分とは違う考えを知ったり、考えを練り合ったりする学び合いの場を通して、自分の考えを深めたり広げたりしながら、より確かな考えにしていくことを意図している。
これを具現するために、「1.基礎学力の徹底」「2.喜びとかかわりを大切にした授業」の2本柱で取り組んでいる。

@ 基礎学力の徹底・・・学びを支える読む力に重点
当校では育てたい基礎学力として、「話す力「聞く力」「読む力」「書く力」「計算する力」をかかげている。その中で、今年度は読む力に重点をおくことにした。
自分の考えを作り上げるためには、まず課題や教材文・資料をしっかりと読み取ることが前提となる。また、自分とは違う考えを知る上でも、読む力は不可欠である。その意味で、読む力は学び合いを成立させるために、なくてはならない力ということができる。また読む力は、国語だけに限らず、どの教科においても必要な力である。
ところが、各種学力テストの結果をみても、読解力を必要とする問題の出来は芳しくない。
そこで、読む力に重点をおいた指導を行うことにした。

A 喜びとかかわりを大切にした授業・・・みんなの気づきを自分のものにする手立ての工夫
学び合いを成立させるために、当校では個の確立→個の練り合い→個の発展(⇒学ぶ喜びの実感)という学習過程を大事にして いる。
○個の確立・・・課題をつかみ、自分なりの方法でやってみる。そして、自分の考えをつくる。
○個の練り合い・・・考えを出し合って、よりよい考えに練り上げていく。
○個の発展・・・練り合いによって生まれた考えを自分化し、自分の考えを深化させていく。
昨年度までに、個の確立や個の練り合いでの有効な手立てを明らかにすることができた。しかし、個の練り合いで話し合いに主体 的に参加しているのは一部の子に限られ、練り合いでのみんなの気づきが、一人一人のものになっていないという反省が出され
た。そこで、今年度は個の追求の深化・自分化をはかるために、みんなの気づきを自分のものにする手立ての工夫を「算数科」の 全体公開授業を中心に研究していくことにした。

2.改善授業の受け止め
 学習指導改善調査では、以下の力を診断することができる。
 国語・・・資料などから必要な事柄を収集、選択し、構成や述べ方を工夫して説得力のある文章を書く力
 算数・・・根拠・理由を明らかにしながら、考え方や解き方を筋道立てて説明する力
 そこで、当校の研究を推進していく上で、以下のような活用をしていく。
    
 <研究@にかかわって>
資料などから必要な事柄を収集するためには、まさに読解力が必要である。読み取ったことをもとに、必要な事柄を選択し、構成  や述べ方を工夫して書いていくことになる。そこで、読む力の定着度を判断する1つの材料として、国語の改善調査を活用していく ことにした。

 <研究Aにかかわって>
個の確立で自分の考えをつくりあげるとともに、個の練り合いで自分の考えを説明しわかってもらうには、「根拠・理由を明らかに  しながら、考え方や解き方を筋道立てて説明する力」が必要不可欠である。そこで、個の確立・練り合いを成立させるために、指  導していかなければいけないことを、算数の改善調査から明らかにしていきたいと考えた。

学習指導改善調査結果の分析と課題.

1. 国語

  
4年  ○資料を収集する力
         時間内に指定された字数で文章を記述する力
         資料を活用する力
        △話題の中心をとらえる力が弱い。要点を的確にとらえる力をつける必要がある。
         目的に応じて適切にメモを選び、書く力をつける必要がある。
   
   5年  △自分の考えを明確に書く記述力が低い。
         主張(立場)と資料を結びつけることができない子どもが多い。
         段落の要点や「はじめ」「なか」「おわり」のまとまりを意識しながら段落を構成して書く力が不足している。
         資料の感想に終始し、資料の内容に基づいて意見文を書くまでに至らない子どもがいる。

   6年  ○活字で示されている資料については読み取ることができる。
       △グラフや表などを読み取る力が劣っており、資料の読み間違いが目立つ。
        資料を基に、自分の考えを文章に表したり、知識や経験を加えて表現したりする力が弱い。
        三部構成の書き方が身についていない子どもが多く、主張とその根拠を同じ段落内に記述している子どもが多い。 

    以上の分析結果から以下の3点が当校の課題としてあげられる。 

課題
 @話の内容を的確に読み取る力や多様な資料を読み取る力を育てる。
 A自分の考えに必要な資料の収集や選択能力を伸ばす。
 B構成や述べ方を工夫して説得力のある意見文を書く力を伸ばす

2. 算数
   4年  △根拠を示しながら、順序だてて説明する力が弱い。
         筆算のやり方は理解しているが、その意味の理解が弱いため、筆算の計算の仕組みをうまく説明できない。
         普遍単位の便利さがわかっていない。

   5年  △根拠・理由を明らかにしながら、考え方や解き方を筋道立てて説明する力が不足している。

   6年  △言葉や数値を適切に用いて説明する力が弱い。
         問題文の理解が不十分のまま問題を解いている。 
 
   以上の分析結果から以下の2点が課題としてあげられる。

課題2
 @既習事項を手がかりに、根拠・理由を明らかにする力を伸ばす。
 A考え方や解き方を筋道立てて説明する力を伸ばす

 



課題解決のために・・・取り組みの概要        
        
        

 課題1、課題2を解決するために、研究の柱1「基礎学力の徹底」 2「喜びとかかわりを大事にした授業」にそって、以下の手立てを考えた。

1.基礎学力の徹底
   
課題1を解決するために、以下の方策を大事にし、必達目標を設定して取り組んでいく。

 
@ 音読指導の工夫
     連れ読み、追い読み、リレー読みなど、方法を工夫して、繰り返し指導する。
      <必達目標>
        音読の学年の必達目標を達成する。(1分間に○字)
         A: 90% 以上の子どもが達成
         B: 80%以上
         C:80%未満
 
 A 読み取りを重視した重点単元の設定
     「問いの文をさがす」「順序を表す言葉を手がかりにする」など、焦点付けた読み取りの技を指導する。
      <必達目標>
        重点単元のワークテストで、期待得点を上回る。
        A:90%以上の子どもが上回る。
        B:70%以上
        C:70%未満

 B 身につけた読み取りの技を使いこなす指導
     パワーアップタイムで、初めて読む説明文や物語文の読解問題に挑戦し、身につけた技を使って解く。
     各教科で身につけた読み取りの技を使う。
     <必達目標>
        国語「読むこと」の学力テストで、全国正答率を上回る。
        A:80%以上の子どもが上回る。
        B:70%以上
        C:70%未満

 C 読み取ったことから、自分の考えを書く機会を多くもつ。
     多様な資料を活用し、自分の言いたいことに必要な資料を分類・選択し自分の立場から解釈する機会を設ける。
     三部構成を取り入れ、資料の解釈や自分の経験や知識を加えて根拠を明らかにして、意見文を書かせる機会を多くする     <必達目標>
       書くことの単元で、自分の考えを根拠をあげながら、三部構成でかくことができる。
       A:80%以上の子どもができる。
       B:70%以上
       C:70%未満

 D 子どもが本に親しむために、工夫した読書活動を行う。
     もみのキッズ100冊の本を読むことを推奨する。
     朝読書の時間に読み聞かせをする。        など
     <必達目標>
      年間、下学年は50冊以上、上学年は30冊以上本を読む。
       A:90%以上の子どもが読む。
       B:70%以上
       C:70%未満

2.喜びとかかわりを大切にした授業
  課題2を解決するために、「個の確立」の過程で、以下の手立てを大事にする。

個の確立・・・@考えに違いが出て、解決のために何をすればいいかはっきりしている課題を設定する。
        A既習事項を活用したり、算数的操作活動をしたりして、考えの根拠を作る場を大事にする。
        Bノートに書いてから説明しあう機会を多く設け、図のかき方や説明の仕方を継続的に指導する。
         「まずは」「次に」「最後に」「だから」「つまり」などの言葉を使わせる。

   個の確立でしっかり自分の考えを作らせた上で、「個の練り合い」「個の発展(個の追求の深化・自分化)」の過程で、 
  次の手立てをとり、自分の考えを確かにさせていく。

の練り合い・・・C子どもたちに、出た意見の違いがわかるようにする。
          D比較の対象をしぼって検討する。
          E自分はどの意見なのか、自分の立場をはっきりさせる。
          Fねらいにせまる考えをとりあげて検討させる。
          Gねらいにせまる発言がでない時、ただ発言をまわし続けるのでなく、決め手となる支援をする。
           
個の発展(個の追求の深化・自分化)
          Hねらいにせまる考えを自分化する活動をくむ。
           (話の整理のさせ方を工夫する。
            友達の考えを作業で確認する。
            話し合いで気づいた方法を試す  など)